こんにちは。各ブランドから厚底ハイエンドシューズが発売されて早くも三世代目となりました。今回はニューバランスの「FuelCell SC Elite v3」を実際に履いた感想をレビュー致します。
「FuelCell SC Elite v3」の特徴
厚底の高反発ソール+カーボンプレートのハイエンドモデル
「FuelCell SC Elite v3」の特徴は以下の通りです。
- 厚底ソール(踵部で約39mm)
- 高反発素材「Fuelcellフォーム」を全面に搭載
- 独自形状のカーボンプレート「Energy Arc」を搭載
- アッパーは軽量で柔らかい「エンジニアードメッシュ」
- 比較的低ドロップ(前足部と踵部の高さの差が4mm)
- 重量は210g(26.0cm)と最軽量クラス
ニューバランスの中でも長距離のスピード巡行に特化したハイエンドモデルで、箱根駅伝での着用実績もあります。
「Fuelcellフォーム」による高クッション・高弾性
ミッドソールにはニューバランス独自の高反発素材「Fuelcellフォーム」が使用されています。「Fuelcellフォーム」は他ブランドのソール素材に比べて柔らかくクッション感が高いことが特徴です。
また、「FuelCell SC Elite v3」は世界陸連規格(ロードレース)の範囲内でソールが最も厚い設計となっています。
独自形状のプレート「Energy Arc」により反発性・安定性を両立
「FuelCell SC Elite v3」に搭載されているカーボンプレート「Energy Arc」はキャンバー構造(弓状)になっていてソールの中央部も肉抜きされています。これにより反発性、安定性が高められています。
実際に、前作(Fuelcell RC Elite v2)よりもソールの接地面積が減ったにも関わらず安定性が高いと感じました。
サイズ感・履き心地
サイズは他モデルと同様~やや小さめ
サイズは同社の他モデル(Fuelcell rebel, propel)と同じサイズで問題なかったです。
但し、縦に僅かに小さいと感じ、普段から2サイズで迷う場合は大きいサイズがフィットすると思います。
横幅はやや狭め(D相当)で、ナイキのヴェイパーフライよりもやや広い印象です。
履き心地が柔らかく快適
アッパーの「エンジニアードメッシュ」は薄く柔らかい履き心地で通気性も良好です。前作(Fuelcell RC Elite v2)と比べても薄く軽量感があります。
シュータンは一体型で、ソックスのように伸縮性があり吸い付くようなフィット感です。
ヒールカップは程よい高さと硬さでホールド感は十分だと感じました。また、シュータンと踵にループが付いていて脱ぎ履きしやすいです。
一方で、アッパーが柔らかく履き心地が良い分、少しパワーを伝え難いと感じました。個人的には少し重くなっても良いから補強を入れた方がスピードを出しやすいと感じました。
走行感
ミッドフット〜ヒールフットにオススメ
競合モデルに比べてロッカー(シューズの反り上がり)は緩やかで、強制的にシューズが転がる特性やライド感が少なく癖が無かったです。伝統的なレーシングフラットに厚底ソールを足したような感覚でした。
一方で、踵から中足部にかけてロッカーしているのが特徴的で、踵から中足部にかけての重心移動が最もスムーズでした。脱力して踵に乗った時でも重心が前に送り出される感覚で失速し難いと感じました。
そのため、ミッドフット〜ヒールフットのランナーにオススメです。
クッション性、安定性がどちらも最上級
「Fuelcellフォーム」はとても柔らかく、これまでに履いた競合モデルの中でクッション性が最も高いと感じました。ハーフマラソンで使用したところ、普段よりも脹脛の負担が少ないと感じました。
また、フォームが柔らかく厚底であるにも関わらず、安定性がとても高くグラつきを感じなかったです。「Energy Arc」とソールの肉抜きによって重心が中心に収まるような感覚で、ソールの横幅を広げること無く安定性を高めている点が個人的に気に入っています。
推進力は少なめだが高反発
緩めのロッカーと柔らかいフォームのためか、競合モデルと比べてオートマチックな推進力は控えめでしたが反発性は競合モデルと同様に高かったです。前作とソール素材は同じですが前作よりも反発性が高くスピード帯が速いと感じました。
また、前作と同様にフォームが柔らかく少し沈みこんだ後に強く弾む特徴があり、ピッチ走法よりもストライド走法のランナーと相性が良さそうです。
競合モデルと比べるとスピード感は物足りなく感じるかもしれませんが、比較的楽に反発を得やすいことと脚持ちの良さが強みであると考えます。
サブ3.5(キロ4分台)からメリットが大きい
キロ3分半〜6分のペースで走ってみました。
筆者のスピード帯で、キロ3分30のインターバル走、キロ3:55~4:10のペース走でも全くスピード不足は感じず、ペースが速いほど反発性を得やすいと感じました。
キロ4分中盤のペースではクッション性の高さが目立ち、Fuelcell rebel v3と比べても楽に進めました。
キロ5分台のペースでは、不安定さは感じないものの勝手に上に跳ねる感覚で、このシューズを履くメリットは薄まると感じました。
総じて、フルマラソンでサブ3~3.5狙いのランナーにオススメです。終盤に脚が売り切れると感じるランナーには丁度良いシューズかと思います。
まとめ
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- スピード巡行に適したハイエンドモデル
- 厚底のソールと独自形状のカーボンプレートを搭載
- 競合モデルに比べてクッション性、安定性が高い
- 推進力は控えめだが反発性は十分に高い
- フラット〜ヒールフットのランナーにオススメ
- キロ5分より速いペースでメリットが大きい
走り出しの一歩目はアルファフライやメタスピードの影に隠れそうですが、実際に長い距離を走るとシューズの良さが分かるシューズだと思いました。シューズの性能に置いてかれないように練習を頑張っていきます。
コメント
コメント失礼します。
サブ4を目標にしており、達成のためにはシューズの恩恵を可能な限り受けたいと思っておりますが、こちらのシューズ(フューエルセルコンプエリート)で大会に挑むには不向きでしょうか?
同じニューバランスのフューエルセルコンプトレーナーも履き心地は良くて候補に入ってるのですが、なお、ハイクラスならプラスに働くかと思ったところです。
(アディゼロボストン12も候補にしています。)
よろしければ、サイト主様の主観で構いませんので、シューズ選択のアドバイスを頂けないでしょうか?よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
筆者個人的には、フューエルセルスーパーコンプトレーナー(SCトレーナー)の方をお勧めしたいです。
仰る通りSCエリートの方がスピードを出しやすいモデルでありますが、下記のデメリットがあると認識しております。
①オーバーペース(キロ4分台)になりやすく後半に失速、脚のトラブルが発生しやすい
②ペースが遅くなるほどシューズを恩恵を受けにくく、不安定さを感じやすい
③反発を抑えるのにもパワーが必要で、ペースを下げても楽にならない
特に体格の良い方は抑えたペースでもミッドソールを潰せるため、シューズが意思に反して反発してペースを抑えてるのになぜか疲れると感じると思います。
また、筆者の感覚ではSCエリートはキロ5分台では反発性を活かしにくく、沈み込みの方が目立ちます。
そのため、サポート性能が高くサブ4に十分なスピードも出せるSCトレーナーの方がシューズの恩恵を受けられてトータルで速いタイムでゴールできると考えます。
スピードを重視する場合はアディゼロボストンもありかと思いますが、SCトレーナーの方が疲れた時の助力が貰えて有利と考えます。
サブ4はマラソンの最初で最大の壁かと思いますがその分に達成感も大きいと思います!応援しております!
ご丁寧な回答、ありがとうございました!とても参考になりました。エリートは、もう少しレベルアップしたときの使用を楽しみに、練習に励もうと思います。